2K/4Kアップコンバートの画質について問題提起します。
2K/4K対応画像評価装置VP4000を用いて、エンコードされた2Kコンテンツが、4Kにアップコンバートされた後、正常な品質を保持しているか否かについて調査を行いました。実験の機器構成図に従って説明します。2K非圧縮レコーダーに記録されている2Kコンテンツが出発点となります。1系統は、アップコンバータで直接4K画像にアップコンバートします。もう1系統は、MPEG-2 4:2:2 20Mbpsでエンコード/デコードします。このエンコード前とデコード後の2K画像をVP4000の2Kモードで、品質測定します。そして、2Kデコードの画像を同じ機種のアップコンバータで4K画像にアップコンバートします。非圧縮レコーダーから、直接アップコンバートされた4K画像を基準画像、2Kエンコード/デコードを経由してアップコンバートされた4K画像を評価画像として、VP4000を4Kモードとして、品質測定を行いました。

2K/4Kアップコンバートの画質評価実験 機器構成図

その結果、下のグラフに示されているように、2Kの評価(青色のグラフ)では、20Mbpsのかなりのハイレートであるため、Scene10,11,12,43,44,45の6つのSceneにおいて、品質の劣化を示すDSCQSが全てのフレームで6%以下(5段階で4.7以上)におさまっており良好です。しかしながら、4Kの評価(赤色のグラフ)では、時折、大きくDSCQSが跳ね上がっており、70%以上に達する場合もあります。目視確認では、これらの劣化部分は、動きが速い部分であり、アップコンバート時のIP変換(インタレースからプログレッシブへの変換)での誤りにより、画像のギクシャク感(ジャーキネスのような劣化)が観測されました。尚、アップコンバート間の比較ではまったく違いはなく、劣化の原因は、2Kエンコード/デコードで重畳した符号化ノイズがIP変換の誤りを引き起こす場合がある、と考えられます。

このことから、符号化ノイズが2K画像として良好(善玉)であり、2K/4Kアップコンバート自体も正常(善玉)であっても、これらの組み合わせにより、動きのあるコンテンツにおいて、悪玉の画質劣化が発生する可能性があります。
今後の、2Kと4Kの混在放送では、注意を要するところです。